「紫外線対策」というと、日傘や日焼け止めなど、お出かけのときに準備するものを思い浮かべますよね。
でも実は、室内にも紫外線が入ってきていて、知らない間に紫外線を浴びているのです。
紫外線が室内に入ることによる影響と原因、そして室内に入れないようにするための対策についてお教えします。
過剰な紫外線が人と家に悪影響!
太陽光に含まれる紫外線は、健康と密接にかかわっています。
良い影響としては、紫外線を浴びることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で生成されます。
ビタミンDが不足しがちな赤ちゃんや妊婦さんは、適度な日光浴が効果的であるとも言われています。
ですが、紫外線を過剰に浴びることで、日焼けやシミ・そばかすといった、お肌トラブルの原因になります。
屋外で過ごす場合には、紫外線を浴び過ぎないようにするための対処方法として、日傘や日焼け止めなど、屋外での紫外線対策がたくさん紹介されています。
意外と知られていないのは、家の中にいても、室内に紫外線は入ってきていて、知らない間に紫外線を浴びてしまっている、ということ。
さらに、紫外線は人体への影響だけでなく、室内の床や家具の劣化を促進します。
住む人と家を健康に保つためにも、しっかりと室内の紫外線対策をすることが大切です。
紫外線は、明るさと一緒に窓ガラスから入ります
では、紫外線はどこから室内へ入ってくるのでしょうか?
答えは窓です。
紫外線は、通常の自然光と同様に、窓から窓ガラスを透過して入ってきます。単板ガラスでは、紫外線の約70%が透過します。
窓から入った紫外線のほとんどは、床や壁に当たることで吸収されますが、おおよそ10%は反射して室内側へ飛んでいきます。紫外線は光であるため、部屋の中にとどまり続けるわけではありません。
ですが、窓から光が入り続ける限り、室内へ入り続けることになります。
そのため、室内での紫外線対策には、可能な限り窓から入って来た段階で対策をするのがもっとも効果的です。
窓周辺を工夫することで紫外線の大部分をカットすることが出来るのです。
紫外線の室内への侵入を防ぐ3つの対策
紫外線の室内への侵入を防ぐための対策をいくつか紹介します。
カーテンやブラインドをつける
紫外線による影響が注目される以前から利用されているカーテンやブラインドは、十分に紫外線対策となっています。
費用は窓のサイズによりますが、材料のみで1箇所あたり5,000円~20,000円程度です。
カーテンやブラインドで窓から入った紫外線を、反射あるいは吸収させることで、窓際で紫外線を遮り、室内への侵入を防ぎます。
光(可視光線)が透けないカーテンであれば、ほぼ100%の紫外線をカットします。ブラインドでも遮光した状態であれば、紫外線は通しません。
カーテンやブラインドのデメリットは、部屋の中が暗くなり、外の景色も見えなくなることです。
ですが最近では、紫外線遮光率の高いレースカーテンが販売されていて、明るさや眺望を確保しながら、紫外線もカットできます。
おおよそ80~90%の紫外線カット効果が期待できます。
直接日差しが差し込む時間帯に窓周辺で過ごす時は、なるべくカーテンを閉めるように心がけましょう。
窓ガラスに紫外線カットフィルムを貼る
最近よく聞く紫外線対策の製品に、紫外線カットフィルムがあります。費用は窓のサイズによりますが、1箇所あたり1,000円~10,000円程度です。
この製品は、光(可視光線)の多くを透過させ、紫外線のみをカットするように材質を工夫したフィルムです。
窓に貼ることで、貼る前とほとんど変わらない明るさを維持でき、さらに紫外線対策ができます。
デメリットとしては、多少青かったり、黒かったりするため、部屋の雰囲気が少し変わってしまうことがあります。
また、ガラスをきれい洗ったり、紫外線カットフィルムを裁断したり、と上手に貼るには手間がかかりますので、DIYが好きな方と一緒に行いましょう。
紫外線カットフィルムの貼り付けで最も注意すべきことは、「窓の熱割れ」です。
製品によりますが、たとえば単層の網入りガラスの一部の製品には貼ることができない場合があります。
通常の単層ガラスやペアガラスでは問題ない場合がほとんどですが、貼り付け可能かどうかを十分に確認してから使用しましょう。
窓ガラスを紫外線カットガラスにする
Low-Eガラスと呼ばれる遮熱機能を持ったガラスは、紫外線カット機能も付いているため、窓ガラスの標準的な製品になりつつあります。費用は、サッシごと交換になる場合もあり、1箇所あたり2~10万円程度です。
紫外線カットフィルムを貼るよりも費用はかかってしまいますが、窓ガラス自体に紫外線カット効果があるために耐久性が高くなります。
工務店やリフォーム業者などのプロがしっかりと施工を確認するため、仕上がりがきれいで、長期的に安心して使用できます。
費用を抑えたい場合には、リビングや寝室に面する窓だけ、あるいは直射光が入りやすい南向きの窓だけ、など紫外線による影響の強い窓から変えてみることをお勧めします。
あまり長い時間を過ごさない部屋では紫外線を浴びることは多くありません。また、北向きの窓では南向きと比べて入る紫外線も少なくなりますので、導入の効果は小さくなります。
住まいでの生活スタイルを考えて、費用と効果のバランスを見て設置してみてはいかがでしょうか。
室内への紫外線を抑えてお部屋を明るくする「光ダクト」
紫外線は気になるけれど、お部屋も明るく保ちたいという方は、光ダクトを検討してみてはいかがでしょうか。
光ダクトは、天窓などの日当たりの良い窓から光を取り込み、内側が鏡状になった管を使って1階や北側の部屋まで光を届ける建築構造です。
天窓で紫外線を80%以上カットするともに、鏡の反射を複数回行うことで紫外線を軽減します。
光ダクトの大きさを変えて必要な明るさが確保できますので、様々な広さのお部屋に対応できます。大きな窓のように直射光が眩しすぎたり、紫外線が入りすぎたりすることはありません。
暗い家は嫌だけれど、直射光や紫外線も入れたくない、といった方にはお勧めです。
まとめ
自然光を取り入れて、明るく健康に暮らすための窓ですが、知らないうちに人体に有害な紫外線も室内に取り入れています。
屋外と比べると少なく、室内では過敏に警戒する必要はありませんが、自然光をたくさん取り入れたような住宅にお住まいの方は、紫外線対策についても考えてみる必要がありそうです。