注文住宅を設計する際、間取りをお部屋の配置だけで考えていませんか?
住宅に中庭を設けて形状から見直すことで、採光や通風などのさまざまなメリットがあります。
さらに中庭は、敷地の外からも見られにくく、プライベートな空間となるため、より自由に住宅をデザインすることが可能になります。
もちろん、シンプルな形状の住宅と比較して費用も割高になりますし、しっかりと設計しないと思っていたような中庭にならず失敗してしまうことも・・・。
採光や緑のメリットを得られるように、住宅に中庭を作る際に気を付けるべきことについてご説明します。
採光・通風・自然とメリットも多い「中庭」
住宅にお庭をつくることで、ガーデニングをしたり、物置を置いて屋外での収納を増やしたり、・・・と、いろいろな活用ができます。
さらに最近注目されているのが、住宅で囲むように作る「中庭」という作りのお庭です。中庭には、次のようなメリットもあります。
住宅に採光を取りやすくなり、周囲の部屋も明るくなる
周囲からの視線の抜けができるため、開放感が増す
風通しがよく、新鮮な空気が入ってくる
屋外と屋内をつなぎ、自然を感じられる
このように、中庭を上手に作ることで、よりワンランク上の生活になります。
中庭を作ってから失敗したと感じることも
しかし、中庭を作ることにも注意しなければならないポイントがいくつかあります。
なんとなく良さそうなイメージで作ってしまってから、生活していく中で失敗してしまった、と感じた例として次のようなことがあります。
光が入りにくく、思ったよりも暗い
雨の日に泥が跳ねて窓が汚れる
中庭に植えた植物が枯れてしまった
中庭のある住宅を作る場合には、通常の四角い平面の住宅よりも外装や窓の面積が増えるために割高になってしまいます。せっかく作る中庭ですので、失敗したくはないですよね?
失敗例も踏まえて、住宅に中庭を作る際に注意すべきことをお教えします。
注意すべき5つのこととは?
排水経路は慎重に
最も注意しなければならないのが、排水経路です。
屋外で雨が入るような構造の場合、雨水の排水の経路を確実にとる必要があります。
十分に排水ができないと雨水があふれてしまったり、いつまでの湿度が高くカビやこけなどの原因となる恐れがあります。
また、樹木などを植える場合には、樹木が枯れやすくなることもあります。
方法としては、土を中庭に敷く場合には、土の下には基礎となるコンクリートを設けず、また排水設備も別に用意するようにしましょう。
土を敷かずに人工芝やデッキなどを敷き詰めるような場合には、排水溝を設けて雨水が流れるようにしましょう。
ただし、大雨のように雨量が多い場合や、排水溝にゴミが詰まってしまう場合もありますので、日々の管理が必要となります。
四方を囲まないつくりの方が無難
中庭を大きく作るか、平屋の場合をのぞき、四方を住宅で囲った中庭は作らない方が無難です。
二階建てで四方を囲まれた構造の中庭では、中庭の上部からしか自然光が取れず、冬場などは太陽高度の関係から直射光も入りませんので、暗くなりがちになります。
明るさを取るために中庭を設けても、1階などがあまり明るくならのは避けたいですよね。他にも、湿度もこもるなどの問題もあります。
また、樹木といった大きな植物や家具などを中庭に運ぶ場合にも、搬入が難しくなってしまいます。
コの字型のような構造で、外と中庭をつないで採光や通風もある程度取れるように設計するのが望ましいです。
四方を囲む場合であれば、中庭を広くしたり、平屋にして光が取れるような設計にしましょう。
壁面や地面も工夫
中庭の明るさから考えると、壁面や地面も白系の色にするのが効果的です。
中庭を作ったけれども暗い印象となる場合、階高に対して中庭の面積が十分広い、あるいは、壁が黒っぽい仕上げ、という理由が多いです。
白系の色は、黒系の色と比べて光の反射率が高くなります。
そのため、外壁の色を白系の色にしたり、地面に白っぽい色の採石を敷いたりすることで、窓から入る光も多くなり、また見た目も明るい印象になります。
樹木や芝生を直接植える場合は要注意
中庭で、樹木や芝生を維持し続けるのは非常に難しいようです。
中庭の場合、四方を囲む、またはコの字型でもそうですが、太陽光が直接当たる時間は限られてきます。
植物の種類にもよりますが、直接太陽光が当たる時間が短いと枯れてしまいます。
さらに、気温や水の維持も通常のお庭よりも管理が難しくなり、夏場を越せないで枯れてしまうケースもあります。
ある程度、日差しが少なくても問題なく育つような日陰に強い植物を選び、地面や熱の影響を受けにくいプランターや鉢植えを使うことで、比較的簡単にガーデニングできます。
直接植樹などをする場合には、事前にしっかりと調査したり、あるいは特殊な環境での緑化に詳しい専門業者に依頼するなど、十分に対策してから行いましょう。
窓の大きさで空調の効率が悪化することも・・・
住宅に中庭を作る際は窓の面積が大きくなりますが、窓は壁や壁や屋根よりも屋外の温度をつたえやすいため、対策をしなければ、冷房や暖房が効きにくくなってしまいます。
しかし、最近では、断熱性能の高い窓が使われるようになってきていますので、大きな窓を作っても空調の効率が落ちることはほとんどありません。
太陽光の赤外線をカットする仕様の窓もありますが、やや窓に色味があり暗く感じるため、中庭のように比較的柔らかい自然光を取り込むような箇所にはあまり向いていません。
直射光が強い場合には使った方が効果的になります。
建築家や工務店の設計の方と相談して、住宅に合った性能の良い窓を選ぶようにしましょう。
まとめ
住宅に中庭を設ける際は、まずどのような中庭にしたいのかを考え、平面プランと排水設備を検討してから住宅の外装や窓の設計をする、といった流れで行うことでスムーズに設計できます。
設計の際は、個人住宅に中庭を取り入れた実績が多くあるある建築家や工務店にご相談してみましょう。