窓から入る日差しの遮光方法として、日本では古くから障子が使われてきました。
最近では、カーテンやブラインドといった遮光方法が多く使われるようになりましたが、障子には他にないメリットがあり、こだわりをもつ工務店や建築家が建てる注文住宅で利用されています。
障子の採用を考えている人のために、障子の特徴やメリット、デメリット、そしてデメリットを改善する工夫などについてご説明します。
日差しのさまざまな遮光方法
障子の特徴と遮光性能について
障子の特徴は、太陽の直射光をやわらげて、やわらかい光にできることです。
障子は隙間なく窓を覆っていて直射光をもらしません。そのため、太陽の直射光による局所的なまぶしさが抑えられ、全体の明るさに差がなく、落ち着いた印象になります。
また紙は光を拡散透過して部屋中に広がりますので、部屋の奥の暗さを感じさせないという効果もあります。
ですが、拡散透過するため、障子を閉めた状態では眺望が望めません。
さらに、直射光が強すぎると、障子がまぶしくなってしまい、他にまぶしさを抑える方法がないという欠点もあります。
障子以外の遮光方法
〇レースカーテン
レースカーテンは、障子ほど光の拡散性がなく、また隙間もありますので、やや太陽の直射光が抜けてきます。
カーテン自体がまぶしいということはありませんが、床や抜けた光でまぶしく感じることもあります。
様々な製品がありますので、お部屋に適したデザインや機能のものを選ぶことができます。
〇ロールスクリーン
遮光性が高いものから低いもの、色付きやボーダーになったような製品までさまざまなバリエーションがありますが、光の拡散性は高めです。
また眺望はほぼ望めませんが、簡単に遮光範囲を変えることが出来、太陽高度に応じて調整できるというメリットがあります。
〇水平ブラインド
遮光方法として最も自由度が高いのが水平ブラインドです。
外からの入射角度の調整と、高さを自由に調整することが可能です。太陽の直射光の遮光や目隠しなど様々な状況で利用できます。
光の拡散性はありませんが、反射を利用して天井や床を明るくするなどの方法で明るくすることができます。
〇すだれ
日本で古くから太陽光を遮るために使われているすだれは、遮光性に優れ、眺望も僅かにあるため開放感もあります。
また、基本的に屋外に設置するため、室内のデザインにはほとんど影響しません。
調整や取り外しもできますが、やはり外にあるので少々面倒という点がデメリットです。
遮光以外の障子のメリット
断熱性が高い
住宅の中で、窓はもっとも断熱性の低い部分ですが、障子があることで窓の断熱性能を高めることができます。
紙や木自体に高い断熱性があるわけではありませんが、障子はしっかりと窓枠に固定されることで、窓との間に密閉空間ができます。
その空間が断熱効果を高めているのです。
引込みにするとすっきりする
カーテンでは横に束が、ロールスクリーンやブラインドでは窓上部にボックスや治具が出ます。
障子は、壁に引込むような構造にすることで、窓周りがすっきりとして開放感が増します。
障子があるときとないときで印象を大きく変えられるので、空間のデザイン的に優れています。
洋室にも合わせられるデザイン性
障子は畳のある和室に取り入れることが多いような印象ですが、洋室のお部屋でも合わせることができます。
障子の枠のパターンや幅などでバリエーションを出せます。
自社独自の住宅を建てている工務店や建築家の方も、障子を用いてお部屋のデザイン性や居心地を高める工夫をしているようです。
障子のデメリットと補うための工夫
建築側での検討が必要で、後付が難しい
カーテンやブラインドといった製品は、壁に補強が必要になる場合もありますが、設計時の指示だけでとても簡単に取り付けられます。
ですが障子は、枠が必要であったり、引込みのような構造とするような、周囲も考えた建築側での検討を必要とします。
そのため、後から障子をきれいにおさまるように設置するには費用が高くなってしまいます。
新築、または、お部屋全体の改修と合わせると比較的簡単に導入することが出来ますので、設計段階から考えるようにしましょう。
紙を使うと破れやすい
上は非常に薄く破れやすいですので、小さなお子さんがいるご家庭では使いにくいかもしれません。
障子紙は貼りなおせるとはいえ、貼りなおす頻度が多くなると煩わしく思ってしまいます
最近では割れにくいプラスチック製の障子紙が簡単に利用できるようになっていますので、紙という考えにとらわれず検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
日本に古くからある障子ですが、落ち着いた雰囲気があり、かつ断熱性も高いため、最近の住宅でも採用されています。
破れにくいプラスチック製の障子紙製品によってより利用しやすくなっていますので、新築や改修をご検討の方は、障子の採用についても考えてみてはいかがでしょうか。