家の間取りを決める際に、バルコニーの奥行をどれくらい大きく作るか、ということはバルコニーの使いやすさを決める上で非常に重要です。
洗濯物干しやガーデニングに利用したいとお考えの方は、標準的なサイズだと少々手狭になり、使いにくくなって後悔してしまいます。
戸建住宅をご検討中の方でバルコニーの奥行のサイズに迷っておられる方へ、利用方法にあった目安のサイズや考え方やご説明します。
バルコニーの奥行の決め方は?
バルコニーの奥行とは?
バルコニーの「奥行」とは、建物側の壁から反対側にある腰壁や手すりまでの距離のことを指します。
「出幅(ではば)」という場合もあります。
外壁に沿ったバルコニーの「長さ」を幅と言います。
通常、新築の設計時にバルコニーの奥行というと、外壁の柱中央から腰壁の柱中央までのことを指す場合が多く、2つの外壁の厚み分短くなっています。
この実際の奥行は、内寸や有効幅として表記されます。
使用目的によって必要なバルコニーの奥行は変わる
バルコニーを採用するとき、バルコニーの使用目的を考えることをおすすめします。
なぜなら、使用目的によって必要なバルコニーの奥行が変わり、使い易さに影響するからです。
最低限の奥行で設計した場合、実際に使用するとストレスを感じてしまったり、そもそも狭すぎて使えないということにもなりかねません。
バルコニーが広すぎると、十分に広く取れるくらいの土地や床面積を確保できるなら別ですが、室内の居住スペースが減ったり、バルコニーをきれいに保つ管理が大変になったりします。
適切なバルコニーの奥行を決めるためには、洗濯やガーデニング、カフェスペースなどの利用方法を明確にすることから始めましょう。
使い易いバルコニーの奥行の目安
バルコニーの奥行の目安について、一般的なバルコニーと利用方法に応じた寸法を考え方と共に説明します。
一般的なバルコニーの奥行は910mm(内寸約700~780mm)
多くの工務店や一部の木造住宅のハウスメーカーでは、奥行910mmを標準としていますが、この奥行となる大きな理由は2つあります。
1つめの理由は、縦横910mm(3尺)を設計の単位とする日本の標準的な木造住宅では、この寸法が設計しやすいからです。
設計しやすいということは、作りやすいということでもあり、多くの事例やこの寸法を基準とした既製品も多くあります。
そのため、失敗しにくく、費用も安価に抑えられます。
2つめの理由は、建築基準法で外壁より1mを超えるバルコニーは、建築面積としてみなされるからです。
建築面積が広くなると、建蔽率の厳しい土地では、さらに居住スペースを削らなければなりません。
このように、住まい手の用途ではなく、設計や建築側の都合で奥行910mmが標準となっています。内寸は壁の構造などによって変わりますが、おおよそ700~780mmとなります。
室外機や物置場として利用する場合の奥行は600mm~910mm
エアコンの室外機を置くスペース、または基本的にバルコニーには入らずに窓から手を伸ばして利用する使い方の範囲であれば、600mm~910mmあれば十分です。
洗濯物干しに利用する場合の奥行は1000mm以上
奥行910mmでも洗濯物を干せないことはないですが、作業がかなり窮屈になるので1,000mm以上がおすすめです。
奥行910mmでは内寸で700mm~780mmとなりますが、洗濯物の幅は大人用のシャツでも、壁に触れないように干そうと思えば400mm以上は必要です。
そうすると、残りのスペースは300mm~380mmですので、少々狭いスペースに立って洗濯物を干さなければなりません。
体格や洗濯物の量、頻度などにもよりますが、奥行1000mm以上あると、洗濯物干しの作業が楽になり、ストレスが小さくなります。
ガーデニングに利用する場合の奥行は1200mm以上
ガーデニングでは、しゃがんだ体勢での作業となりますので、立ち仕事よりも広いスペースが必要になります。
また、プランターの風通しが良くなるよう、腰壁から少し離すことも考えると、1200mm以上が望ましい奥行となります。
奥行を大きく取るにはルーフバルコニーがおすすめ
ルーフバルコニーとは?
階下のお部屋で屋根に当たる部分にあるバルコニーのことです。
通常のバルコニーというと、外壁部から突き出たような(オーバーハング)構造になっているものが一般的です。
ルーフバルコニーは、2階の外壁を少し内側に引っ込んだような構造で、バルコニーの腰壁が1階外壁とほぼ同じ位置になります。
最上階すべてを利用したルーフバルコニーは、スカイバルコニーなどとも呼ばれます。
ルーフバルコニーのメリット
オーバーハング構造と比較した場合のルーフバルコニーのメリットは、主に次の2つになります。
〇奥行を広く取れる
標準的な奥行が910mmであり、それ以上長くなると構造的に弱くなる場合があり柱を設ける場合が多くなり、そうすると床面積となることをご説明しました。ルーフバルコニーは、下階によって構造が安定しているので、バルコニーの奥行を大きくしても構造的に問題ありません。
〇バルコニー下が暗くならない
バルコニーは日当たりが良好な南側に作ることが多いですが、1階にはリビングがあることも多いです。
バルコニーが窓の上部に突き出していると、バルコニーが陰になり、リビングの日当たりが悪くなります。
オーバーハング構造のバルコニーは、隣家と十分に距離がある場合には、庇として夏の強い日差しをカットするなどメリットになります。
ですが、隣家との距離が近い場合には自然光がほとんど入らないほど暗くなってしまいます。
ルーフバルコニーは日差しを遮りませんので、住宅密集地などの暗くなりがちな土地では特におすすめです。
バルコニーや隣家による日当たり悪化は光ダクトで改善
ルーフバルコニーが利用できない場合やバルコニーによる日差しの遮りがなくても、1階が暗くなる場合には光ダクトを使うことで改善できます。
光ダクトとは、内面が光反射率の鏡で作られた管上の構造物です。
天窓などの日当たりの良い採光窓の光を、光ダクトで複数回の反射を利用して暗いお部屋まで光を届けます。
光ダクトを用いることで窓のない廊下や窓があっても暗いお部屋を明るく出来ます。
バルコニーや周辺建物によって暗くなる場合には、光ダクトを使うことも考えてみてはいかがでしょうか?
まとめ
バルコニーの奥行きは、使用目的ごとに使いやすい長さがありますので、バルコニーの使用目的を考えてから奥行を要望するようにしましょう。
室外機や物置は標準的なサイズである奥行910mmで問題ありませんが、洗濯物干しやガーデニングではもっと大きい方が使いやすくなります。
バルコニーを大きく作りたい場合にはルーフバルコニーがおすすめです。
住み方に合ったバルコニーを選んで後悔しない家作りにしましょう。