みなさん、こんにちは。
2021年ころから、一般の方向けに導入検討依頼のサービスを開始しておりますが、大変ご好評をいただいており、大変ありがとうございます。定期的にご依頼をいただいており、提案件数も集まってきていますので、少しずつ紹介していければと考えています。
日当たりに関して、本記事と似たようなお悩みを持っている方にはぜひご参考いただき、「どこでも光窓」を検討いただければ幸いです。
※本記事は実際にご依頼いただきました案件をもとに、少し内容を修正して記載しております。
今回のご相談内容
今回の案件は、南側の隣家が近いため1階のLDKの日当たりが悪い、というものでした。
下の図は、いただきました検討建物の所在地を航空写真からモデル化したイメージ図になります。
隣接状況を見るとかなり隣家に迫っている様子が見て取れます。1階の外壁から南側の隣家までここまで近いと、冬だけでなく春分、秋分といった中間期にもほとんど直射光が入りません。
また、バルコニーが外壁面より出ている構造によって、窓に入る光が少なくなっていることも1階LDKがくらい原因になっています。
バルコニーは夏の直射光を遮るというメリットもありますが、天空光とよばれる空の明るさが入りにくくなるというデメリットがあります。隣家が近い場合には、バルコニー下の窓が暗くなりがちですので注意が必要です。
今回はどこでも光窓で1階LDKを明るくする提案について検討しました。
ご提案内容
光ダクトの設置には、光を取り込む採光部と光ダクトのためのダクトスペースが必要になりますが、間取りを確認すると、2階にダクトスペースを作りやすい空間がありませんでした。
そのため今回は、下図のようにLDKの真上のお部屋にある掃き出し窓で採光し、外壁に沿って光ダクトを配置するプランとしました。
この設置方法は、天窓や窓の新設が不要のために費用が抑えられますが、2階の窓周辺が使用できなくなるデメリットもあります。1階LDKの日当たり改善効果とそれらのデメリット、費用を勘案して採用を判断いただかなければなりませんので、まずは、シミュレーションにより効果を検討しました。
導入による効果の検討結果
作成されたモデルにおける冬至12時晴天時のシミュレーション結果を下記に示します。2つの図の前が現状、後がどこでも光窓導入時となります。
キッチン側からリビングを見る視線でパース図を作成しています。窓正面の天井にある枠が、どこでも光窓によって得られた光になります。現状の図でも少し枠のあとが見えますが、計算精度上のエラーであり、輝度や照度に影響はありません。
どこでも光窓によって明らかに明るくなっている様子が確認できました。
次はリビングから窓を見る視線で作成したパース図です。
こちらでも、冬至12時おいては十分な明るさ向上が確認できます。
次の図は、1階LDKの鳥観図で、照度を数値ごとに色分けしています。青色から赤色になるにつれて照度が高くなり、500lx以上は赤色になります。
現状では窓正面のみ500lx程度の箇所がわずかにある程度ですが、どこでも光窓を導入することでリビング周辺はほぼ全域で500lx以上となっていて、数値上でも明るくなったことが確認できました。
また、キッチンやダイニングも照度が高くなっていて、お部屋全体が明るくなりました。
本結果は、太陽高度の最も低い時期である冬至の12時時点でシミュレーションしておりますので、現状との差が大きくなっていますが、もともと1階LDKに直射光の入る時間は短いですので、ほかの時期でも明るくなることが想定されました。
設置に関する提案
下の図は、今回のモデルの断面図になります。
設計時でも説明しましたが、2階のお部屋の掃き出し窓を採光部として、窓の正面に光ダクトを設置しています。バルコニーの手すりを考慮しても、冬場で床上1mくらいの光ダクトで十分に採光が取れていますので、おおよそ腰上くらいまでのダクトスペースで済みます。
そこで、ダクトスペースを次の図のように造作で棚などを設置すると、違和感なく光ダクトを設置することができます。
また、軽い素材を造作物の材質とすると、1階に採光が欲しい時期以外は部屋の隅に移動させることができて、その時期は窓を塞ぐこともなくなります。
このように、設置方法も工夫することで、光ダクトのデメリットも小さくなります。
ご提案時に、できるだけ設置しやすいような提案も行っておりますので、設置が難しい場合でもご相談ください。
まとめ
南側隣家が近くて日当たりの悪い1階LDKへのどこでも光窓導入を検討しました。
2階のお部屋の掃き出し窓を採光部として利用し、窓の正面に光ダクトを設置する方法でモデルを作成して、冬至12時晴天時のシミュレーションを行いました。現状と「どこでも光窓」導入時を比較して明るさの向上が確認されました。
設置方法を工夫することで、ダクトスペースのデメリットを小さくする方法も合わせて提案しました。
ご自宅への導入についても提案してほしい方は下記よりお申し込みください。