
デメリットもある勾配天井が注文住宅で採用される3つの理由
注文住宅を検討している方で、勾配天井を採用するかについてお悩みではないでしょうか。
勾配天井の画像は、どれもおしゃれなお部屋の写真でかっこいい印象がありますが、採用して後悔している方もいらっしゃるようです。
勾配天井にはデメリットもありますが、それでも注文住宅で採用されている理由があります。注文住宅で後悔しないために、勾配天井のデメリットと採用される理由をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.イメージで勾配天井を選び、後悔する人も
- 2.勾配天井で後悔しがちな3つのデメリット
- 2.1.暑さ寒さを感じやすい
- 2.2.お掃除やメンテナンスが大変
- 2.3.落ち着かない
- 3.勾配天井を採用する3つの理由
- 3.1.居住スペースを広く確保できる
- 3.2.開放感がある
- 3.3.日当たりが良くなる
- 4.まとめ
イメージで勾配天井を選び、後悔する人も
勾配天井(こうばいてんじょう)とは、一般的な床と水平の天井ではなく、斜めになっている天井をいいます。
勾配天井は、2階建ての2階部分、あるいは、平屋の1階部分、のような、屋根の下にあたるお部屋にで利用されます。勾配天井の傾斜角度は、屋根の勾配に合わせた傾きとなっています。
勾配天井を用いたお部屋は、注文住宅の住宅雑誌や住宅会社のwebサイトで事例として紹介されることも多くなっています。
ですが、勾配天井を採用した注文住宅を建てて、住み始めてからイメージと違ったり、生活の不具合を感じたりして後悔している方もいます。
それは、勾配天井にはメリットだけでなくデメリットもあるからです。勾配天井を採用するための費用も、一般的には内装仕上の面積増加や手間がかかる分、高くなる傾向にあります。
追加の費用をかけて勾配天井を採用したにもかかわらず後悔しないように、デメリットをよく理解するとともに、選んだ理由をしっかりと意識することが重要です。
>>関連記事『狭い土地でも日当たりのいい家に! 新築設計時の工夫まとめ』
勾配天井で後悔しがちな3つのデメリット
keisuke3さんによる写真ACからの写真
暑さ寒さを感じやすい
勾配天井にする場合、天井高さが部分的に高くなるため、お部屋の容積が大きくなります。
お部屋の天井くなると、上下に空気の温度差を生じやすくなります。特に冬場は、暖かい空気は上へ上りますので、生活している床付近は少し寒くなってしまいます。
エアコンで冷房や暖房したとすると、温度を冷やしたり温めたりする空気の量が増えます。そのため、多くの風量で循環させないと、室内に温度差を生じやすくなってしまいます。
勾配天井を採用するときは、夏や冬でも家全体の温度があまり変わらないように、断熱性や気密性といった住宅性能を上げる必要があるのです。
勾配天井をよく採用している工務店などは、このことをよく理解していますので、住宅性能の良い家づくりをしています。ですが、勾配天井をほとんど採用したことがない会社では、十分な対策ができていないこともあるのです。
お掃除やメンテナンスが大変
勾配天井では、一部の天井がかなり高い位置にあり、その周辺の照明器具や窓は非常にお掃除がしにくくなります。さらに、構造的に梁が出てくることもあり、梁の上に埃がたまりやすくなることもあります。
埃がたまったままにしてしまうと、窓を開けて風が流れたときに埃も落ちてきたり、埃やダニによる健康への影響も考えられます。
また、高い位置の照明器具が故障や球切れしたときに、自分では交換できず、電気屋さんにお願いしなければならず、工事費用が発生するケースもありました。
最近では照明がLEDになったため、ほとんどなくなりましたが、LEDもいつかは切れてしまいますので、リフォームなどに合わせて照明器具も交換を行う必要があります。
落ち着かない
そもそも、天井が高いと落ち着かない、と感じる方もいます。
高い天井や吹き抜けが住宅で多く採用されるようになってきたのは最近のことですから、一般的なマンションやアパートで勾配天井はほとんどありません。
注文住宅で勾配天井を初めて体験したとき、苦手だったと気づくこともあります。
また、苦手ではない方でも、天井高さが高くなるほど落ち着かなるものです。
ある程度影響のない高さを経験的に知っている設計の方でないと、寝室のような空間は後悔することも多くなってしまいます。
>>関連記事『注文住宅を設計事務所で建てる際のメリットとデメリットを説明します』
勾配天井を採用する3つの理由
EMSjpさんによる写真ACからの写真
居住スペースを広く確保できる
都市部の住宅密集地では、高さや建蔽率などの土地に対する建築の制限により、建築主が希望する大きさの住宅が建てられないことがあります。
2階部分を勾配天井すると、建物の高さを低く抑えることができ、高さ制限が厳しい土地でも3階建てにできる場合もあります。
勾配天井で天井の低い部分を収納などに利用し、天井の高い部分を生活空間にする、といった設計の工夫により窮屈な印象を与えないようにすることも可能です。
敷地に余裕がなく、大きな家が建てられそういないときは、勾配天井も検討してはいかがでしょうか。
開放感がある
勾配天井のある部屋は、天井が高くなるため、開放感を得ることができます。
それほど大きくないお部屋でも、縦に広い空間が広がっていることで、お部屋の狭さを感じにくくなります。
一般的な吹き抜けと同様の効果ですが、吹き抜けのように上層階の床面積を減らすことがなく、構造的な補強も少なくて済むため、開放感を得るという意味では勾配天井の方がデメリットは少ないでしょう。
日当たりが良くなる
勾配天井により天井高さを高くすることで、外壁に窓を設置できる面積が増えるので、日当たりが良くなり、お部屋が明るくなります。
単純に窓が増えるだけでなく、高い位置から光を取り込むことができるので、冬場に隣家で陰になるような場合でも、太陽光が遮られにくくなります。
さらに、勾配天井は屋根面に接しているため、天窓を設けることもできます。天窓は、高い位置にある窓よりもさらに安定して光を取り込めます。天窓からは空も見えるため、開放感がさらに増す、という効果も期待できます。
>>勾配天井と天窓で間取りを工夫し、日当たりの悪い立地でも明るい住宅を実現した事例
まとめ
おしゃれなイメージのある勾配天井には、暑さ寒さを感じやすかったり、お掃除やメンテナンスが大変、といったデメリットがあります。
しかし、設計次第で居住スペースを広く確保でき、さらに吹き抜けのように床面積を減少させることなく、開放感を得られ、日当たりを良くできます。
注文住宅を設計中の方は、勾配天井を提案されたときには、しっかりとその設計の意図や理由を聞いてから採用するようにしましょう。