光ダクトとは? 窓のない部屋に自然光を導く仕組みを事例写真で解説
- 鋼鈑商事株式会社 建材事業部

- 2018年2月2日
- 読了時間: 9分
更新日:4月30日
「日中なのに部屋が暗い」
「窓のない部屋にも自然光を取り入れたい」
その悩みを建築的に解決する方法として注目されているのが光ダクトです。
光ダクトは、屋外の自然光を高反射のダクト内で反射させながら建物の奥まで届ける採光技術。電気を使わず、やわらかく心地よい自然光を室内に取り込めます。
この記事では、
光ダクトの仕組み
メリット・デメリット
設置方法や基本構造
設置事例
を中心に、初めての方にもわかりやすく解説します。
光ダクトとは?|自然光を室内に届ける採光システム
光ダクトとは、内側を鏡のように仕上げた管(ダクト)を用いて、屋外の自然光を室内へ導く採光システムです。
ダクト内部で光を何度も反射させることで、窓から離れた場所や、窓の設置が難しい部屋にも自然光を届けることができます。
建築分野では「採光装置」や「昼光利用設備」の一種として位置づけられ、オフィスビルや学校、工場、公共施設だけでなく、近年では一般住宅への導入も増えています。
電気を使わず自然光のみで室内を明るくできるため、省エネルギー性と快適性を両立できる点が大きな特長です。

光ダクトのメリット|自然光ならではの明るさと省エネ性
自然光ならではの心地よい明るさ
光ダクトで得られる光は、LEDや蛍光灯といった人工照明とは異なり、やわらかく自然な印象の明るさです。
時間帯や天候による光の変化も感じられるため、室内にいながら屋外とのつながりを感じられる空間をつくることができます。
建築デザインにこだわる住宅や、快適性を重視する空間づくりにおいても、高く評価されています。
電気代がかからず、省エネ効果が高い
光ダクトは自然光をそのまま照明として利用するため、日中の電力消費を大きく削減できます。
可動部品がなくシンプルな構造のため、設置後のメンテナンスもほとんど必要ありません。
また、停電時でも屋外が明るければ最低限の明るさを確保できるため、非常時の補助照明としても有効です。
光ダクトのデメリット|導入前に知っておきたい注意点
設置スペースが必要になる
光ダクトを設置するには、ダクトを通すためのスペースが必要です。
天井裏や壁内の構造によっては、天井高さの調整や設計上の工夫が求められるケースもあります。
明るさが天候や時間帯に左右される
光ダクトは自然光を利用するため、夜間は光を取り込むことができません。
また、曇天や雨天時には照度が低下するため、必要に応じて人工照明との併用が前提となります。
初期費用が比較的高い
高反射率の材料を使用するため、一般的な照明器具と比べると初期費用は高くなる傾向があります。
ただし、電気代やメンテナンス費用がかからないため、長期的なコストメリットを評価することが重要です。
光ダクトの基本構造

光ダクトは、主に次の3つの要素で構成されています。
採光部|屋外の自然光を取り込む
採光部は、屋外の自然光を取り込む部分です。
一般的には窓や天窓(トップライト)を利用しますが、設計条件によっては、光を効率よく集めるための専用装置を組み合わせることもあります。
導光部|光を高効率で運ぶ
導光部が、いわゆる「光ダクト」にあたる部分です。内側を高反射率の金属板で仕上げることで、光の減衰を抑えながら、建物内部の必要な場所まで光を運びます。
材質には加工性と反射性能に優れたアルミニウムが多く使用されます。
放光部|室内に自然光を広げる
放光部は、導光部を通ってきた光を室内に放射する部分です。
乳白板や拡散性のある素材を用いることで、まぶしさを抑えながら、空間全体にやさしく光を広げます。
天井や壁など、建築デザインに応じた自由な配置が可能です。
光ダクトの形状
光ダクトは、曲げたり分岐させたりすることが可能で、建物の構造に合わせて自由に形状を設計できます。代表的な形状には以下のようなものがあります。
垂直型光ダクト

屋上や屋根の天窓から光を取り込み、光ダクト垂直に設置して下の階まで光を届ける形状です。
天窓で採光するため、太陽高度の高い夏により多くの光量を採光して、反射による光の損失を抑えて放光できますので光量が大きくなります。
逆に、太陽高度の低い冬は光量が小さくなります。
シンプルな形状で費用対効果が良いため、採用実績がもっとも多い形状です。
水平型光ダクト

壁面の窓から光を取り込み、光ダクトで天井裏などを通して水平に光を運び、窓から離れた部屋に届ける形状です。
垂直型とは逆に、太陽高度の低い冬に光量が大きく、夏に光量が小さくなる傾向になります。また方位の影響が大きく受けます。天井ふところに設置するため、床面積をダクトスペースに使用しなくても良いメリットがあります。
設置環境が難しく、周辺の建物によって壁面の採光部が影になる場合もあり、限られた条件でのみ使用されます。
L字型光ダクト

建物の構造に合わせて光ダクトを曲げて設置するタイプ。
ただし、反射率の高い素材を使用していても、光の反射率は100%ではありません。
そのため、導光部が長くなるほど、また曲がりの多い構造になるほど、光の量は徐々に減衰してしまいます。このため、光ダクトは比較的シンプルな垂直型や水平型が多く採用されています。
光ダクトの設置方法
光ダクトを建物に設置する方法は、大きく分けて2つの方式あります。
角ダクト方式
これは、空調用ダクトと同様の構造を持つ光ダクト部材(角ダクト)を建物内に据え付ける方法です。
空調ダクトと同じ接合・取り付け方法が使えるため、設置が容易であり、短時間で設置が可能です。
接合部は密閉性が高く、内部にほこりが入らず、劣化しにくい構造になります。
壁面貼り方式
この方法では、壁面に光ダクト用の反射板を貼り付けて、空間全体を光ダクトとして機能させます。
ダクト加工では対応できないような大きな光ダクトも形成可能です。
ただし、反射板を取り付けるための下地を細かく作る必要があり、反射板も1枚ずつ丁寧に貼っていくため、施工には時間がかかります。
光ダクトの設置方法は、サイズや予算、工事期間などを考慮して選定されます。
光ダクトの導入事例
光ダクトの導入事例の一部を建築用途ごとに紹介します。
光ダクトの学校事例
〇岩国市立玖珂小学校
学校に光ダクトを導入し、階段踊り場を明るくした事例です。
1Fの天井放光部だけでなく、2F、3Fにも壁面の放光部を設けることで、1本の光ダクトで各階を明るくしています。

屋上に設置したトップライトを採光部として、光ダクトに光を取り込んでいます。安全上の観点から、周囲に柵を設けています。

1Fの放光部から、光ダクトを見上げた写真になります。垂直型のため、まっすぐ採光部と空が見えています。
2F、3Fにも放光部のためのダクト開口が設けられています。

1F天井放光部の写真です。比較的大きな空間ですが、大きな光ダクトのため十分な明るさが得られています。放光部を天井面で仕上げているため、すっきりとした印象となっています。

光ダクトの商業施設事例
〇みやざきアートセンター
商業施設に光ダクトを設置して、建築のデザインの一つとして利用した事例です。
垂直型のダクトで、1Fの天井放光部だけでなく、各階にもスリット状の放光部を設けて、アクセントにしています。

この導入事例では、直射光をあえて入れないように設計されていて、光ダクトの採光部は建屋の影になるテラスに設置しています。
また、この光ダクトはデザイン性を重視し、円筒型で作成しています。

光ダクトを壁内内に隠すのではなく、円筒型のダクトに仕上げをすることで吹き抜けを貫通する柱のような意匠になっています。
階段の高さに合わせて開口部を設け、放光部の素材を透明にすることで、光ダクトの内側が見えるデザインになっています。

放光部は、2層吹き抜けの上部に位置しています。
空間自体が広く、屋外からの光も十分に得られる箇所ですので、光ダクトからの強い明るさを感じることはできません。
ですが、下から放光部を見上げた時に、空が見えるようになっていて、建築物内でも屋外を感じるられるようにしています。

他にも多くの用途で光ダクトが使用されています。
光ダクトの住宅事例
〇木造一戸建て住宅
既設の木造一戸建ての一般住宅に全体のリフォームに合わせて光ダクトを導入した事例です。
壁窓を採光部として、水平型光ダクトを設置し、明るくしたいリビング上部で曲げ、天井面放光部としています。

瓦屋根の住宅で、雨漏りの心配のある天窓を使わずに、壁から採光しています。
軒の出が多少あるため、太陽高度の高い夏場はあまり光が入りません。

光ダクトを設置した小屋裏の様子です。リフォームでしたが、広い空間があるため、光ダクトの設置スペースも問題になりませんでした。

天井放光部の写真です。
太陽高度の低い冬場から中間期にかけて十分な明るさがとれています。

🔍FAQ|よくある質問
Q. 光ダクトとは何ですか?
A. 内側を反射面とした管(ダクト)を利用して自然光を建物内部に取り込み、室内照明として利用する建築構造です。
Q. 垂直型光ダクトの特徴は?
A. シンプルな形状で費用対効果が良いため、採用実績がもっとも多い形状です。明るさの傾向としては、天窓で採光するため、夏に光量が大きく、逆に、冬は光量が小さくなります。
Q. 光ダクトはどのような建物に導入されている?
A. 住宅、学校、商業施設など、建築物の用途によらず様々な建物に導入されています。
まとめ|光ダクトは自然光を活かした新しい採光の選択肢
光ダクトは、電気に頼らず自然光を建物の奥まで届けることができる採光システムです。
省エネ性、快適性、デザイン性を兼ね備え、「窓をつくれない=暗い」という常識を変える可能性を持っています。
設計条件や用途によって向き不向きはありますが、自然光を活かした建築を考えるうえで、検討する価値の高い選択肢といえます。































































