住宅において、光環境は優先順位を低く設定されがちな項目です。
住宅の光環境は、キッチンの使いやすさや、省エネ性能と比べて、生活における利便性や費用としてわかりにくいからです。
ですが、長く住み続ける住まいでは、明るさ・暗さや照明機器に関する小さなストレスや不満などの気持ちの面で出来るだけ改善していきたいものです。
光環境のよい空間で生活するために、住宅の明るさについての幅広い知識を、なるべくわかりやすくお伝えしていきたいと考えています。
今回は、住宅の明るさについてです。
明るさ・暗さを考え判断するために、まずは住宅に関してどのようにして光を得ているか、またどのような種類があるのかといった、住宅の明るさに関する全体的な説明をします。
住宅の明るさを決める要因は「光源」×「室内」×「感じ方」
さて、いきなりですが、上の画像について、室内の明るさをどのように感じますか?
窓は明るく光っていて、人工照明も点灯していますので、光は十分にあるように感じますが、全体的には何となく暗く見えます。
ただもし、もっと窓に近い位置から見たり、あるいは、内装を白っぽい色であれば、明るく見えると思いませんか?
私たちは、物体からの光を目によってとらえることで、その物体を認識しています。
物体からの光には、その物体自体が光っている場合と、別のところから来た光を反射している場合があります。
それ自体が光る物体を光源といい、自然界では太陽があり、人工のものでは蛍光灯やLEDライトなどの照明があります。
私たちが住んでいる住宅について、考えてみましょう。
住宅の室内において、光源となるのは窓から入ってくる太陽光と照明器具、あるいはテレビなども光源になります。
夜は太陽光が入ってきませんので、暗くなるのはご存じのとおりです。光源からの光によって内装やインテリアが照らされて、室内の物体を認識します。
白っぽい壁紙の部屋は明るく感じますよね。
そして、それらを見る私たちの見方や感じ方によって決まります。
同じ明るさでも、それを明るいと感じるか暗いと感じるかは、認識する人によって変わってきます。
つまり、住宅の明るさを決める要因は、「光源」×「室内」×「感じ方」になります。
住宅における光源は「自然光」と「人工照明」
私たちの身の回りにある光を発する光源は、太陽、火、人工照明などがあります。
昔から、日中は地球上に降り注ぐ太陽の光で、夜は火を使って明りをとって生活していました。
そして電気の発明により、人工的に光をつくる技術が発達し、いまでは夜でも人工照明で日中と同じように生活できるようになっています。
住宅に使われる光は、自然光と人工光に分けられます。
自然光は、太陽の光を直接感じるような直射光、青空や雲などの太陽光の散乱によって空全体から得る天空光、あるいは、直射光や天空光がビルや地面などに当たり反射されてくる地物反射光があります。
基本的には、全て太陽が光源ですが、明るさや感じ方はずいぶん違います。
人工光は、人工照明、暖炉やストーブの火、テレビ・パソコンのモニター、電子機器のランプなどもあります。しかし明るさを得るために使用されるのは人工照明だけです。
自然光と人工照明の大きな違いは、エネルギーを使うか使わないかです。
自然光は、太陽の光ですのでエネルギーは使わず、お金もかかりませんが、日中のみしか使うことができません。
一方、人工照明は主に電気というエネルギーを使用して明るさを得ています。
当然お金がかかりますが、必要に応じていつでもどこでも明るくすることができるというメリットがあります。
住宅に自然光を取り入れるのは、「開口部」
自然光で住宅を明るくするためには、基本的には『開口部』を設ける必要があります。
開口部は、住宅の中で屋根や壁の一部で屋外とつながっている部分のことで、光、風、人、物などを屋外と屋内を出入りさせるためにあります。
具体的には扉、窓、あるいは屋外とつながる換気扇や煙を流す煙突なども開口部となります。
光を取り入れるための開口部は、主に窓で、光を通すガラスが一般的には用いられます。逆にいえば、窓を設けなければ家には光は入りません。
四方と天井を塞がれた部屋では、真っ暗になることは簡単に想像できますよね。
全面がガラスの部屋では、確かに明るいかもしれませんが、そこで生活をするというのは色々と問題も多そうです。
そういったことのバランスを適切にとるのが窓であり、屋外と屋内をつなげているのが開口部なのです。
まとめ
住宅の明るさを決める要因は「光源」×「室内」×「感じ方」
住宅における光源は「自然光」と「人工照明」
住宅に自然光を取り入れるのは、「開口部」