皆さん、こんにちは。
今回から数回にわたって、本ブログにて光ダクトを設置する実邸の建築計画についてご紹介していきたいと思います。1回目となる今回は、「コンセプト」について説明します。
計画の目的について
光ダクトは、暗い部屋を明るくする、という漠然としたイメージの製品と認識されている方がほとんどではないでしょうか。
確かに効果としては自然光を利用して明るくするための製品ですが、使い方によっては住宅の費用を削減する効果が得られます。
例えば、旗竿地という敷地では、日当たりが悪くなりがちで利用しにくいという点で土地価格が安く、住宅購入にかかる費用の土地代の割合を少なくすることも可能です。
都心部などの周辺地価が高い地域においては、旗竿地と通常の土地では同じ面積でも数百万円も違ってきます。
もちろん旗竿地のデメリットは日当たりだ出家はありません。
ですが、少なくとも日当たりに関しては光ダクトで解決できます。
日当たりを除いた問題を許容できれば、光ダクトは大きな費用削減につながるのです。
さらに、光ダクトで効率よく明るさをとることが可能であれば、窓の設置個数や窓面積を少なくできます。
費用の問題に加えて、住宅の断熱性を高めるためにも窓を少なくすることは有効です。窓を少なくすることで防犯性も高まります。
このような光ダクトを住宅の費用を削減するために賢く利用する方法は考えられていましたが、実際に使用されたことはほとんどありません。
実際に設置された光ダクトを含めた、住宅全体の見学が可能なモデルハウスを建てたいと考えています。
敷地について
モデルハウスを建てる敷地は、下図の立地を選びました。住所は東京都日野市です。
まさに、上記で述べたような典型的な旗竿地です。
実際、土地の単価は周辺よりも3割以上安く、同面積であれば、土地費用を500万円以上もおさえられています。
接道側から敷地を見た写真です。南側は低い塀しかないため、それほど奥まった印象はありません。
写真正面の南側には2階建て戸建住宅が建ち、写真右手の西側には2階建て集合住宅が建っています。
写真にはありませんが、北側と東側にも2階建て戸建住宅が建っています。
四方を隣家建物で囲まれているため、日当たり条件は良くない敷地です。
コンセプトと設計プランについて
今回の光ダクトモデルハウスは3つのコンセプトがあります。
1つめは、もちろん光ダクトを有効に使うことです。日当たりの悪い旗竿地で光ダクトによって明るい住宅が実現できる、というモデルになればよいと考えています。
2つめは、住む人が快適に生活できる家を作ることであり、そのために「そらどまの家」という考え方を取り入れています。そらどまの家は、一般社団法人 エコハウス研究会の丸谷博男氏が提唱する家づくりであり、省エネ性だけでなく、快適性に非常にこだわっています。このモデルハウスでは、そらどまの家となる建材や設備をある程度リーズナブルに組み込めるよう工夫することが目標です。
3つめの設計コンセプトは、太陽光パネルと蓄電池を取り入れ、自家消費型の住宅を実現することです。太陽光パネルは比較的価格も下がり、各住宅に搭載しやすくなりましたが、売電価格の定価により、導入メリットが小さくなっています。蓄電池と組み合わせることで、夜間に使用する電力に太陽光発電の電力を利用でき、電気代を削減可能です。さらに、災害時の非常用電源として効率よく利用でき、防災の面でも大きなメリットとなります。
これらのコンセプトで設計するよう協力をお願いしたところが、一級建築士事務所 株式会社 若原アトリエです。エコハウス研究会ともつながりがあり、さらに都市部の変形地や狭小地での住宅設計事例が多くて光ダクトにも興味を持たれていました。
上記のコンセプトを組み入れた設計プランが次のようになりました。
リビングダイニングは、南向きを避け西向きにし、日当たりについては、中心の光ダクトで採光し補っています。
少し光ダクトの光を演出するために、光ダクトの直下には植栽をプランニングしています。
現在、修正を加えながら進めています。施工については、こちらもエコハウス研究会のつながりで、株式会社 真柄工務店にお願いしました。
そらどまの家に用いる設備や建材の導入実績があり、日野市周辺も対応エリア内ということでお受けいただきました。
完成は2月末の予定で進行しています。今後も進捗状況をお伝えしていきます。